お知らせ

2015年10月08日

第三十三回「坐禅・法話会」を開催致しました

去る9月30日、萬徳院釈迦寺船橋中央に於いて、第33回座禅法話会が開催されました。今回はいつにも増して多くの方にご参加いただき、座禅を真剣に体験されておりました。また、今回から「仏教美術」という題材で松本宏泉師と江島靖秀師の御二方に御法話をいただきました。

 

第一座 松本宏泉師 「棟方志功の仏教美術」

食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋と言われ、秋一色の今日この頃、この度の法話会の大きなテーマが『仏教美術』ということであります。そこで、『棟方志功の仏教美術』について法話をさせていただきました。
棟方志功さんの作品は、鮮やかな色彩の油絵、骨太の線と大胆なタッチの版画が有名であります。この画風はゴッホと青森のねぶた絵、凧絵が大きな影響を与えてくれたそうです。
仏教を題材とした作品としては『釈迦十大弟子』『御二河白道』があります。
『釈迦十大弟子』は、世界最大の芸術コンクール版画部門で日本人として初めて最高作品賞を受賞されました。また、阿弥陀信仰、浄土信仰をあらわした『御二河白道図』では信仰心があれば道の色は関係ないという志功の考え方で、白い道ではなく、黒い道として描いたことで有名であります。
そして、志功の名言として『わだばはゴッホになる』、『疎開先の富山では大変ないただきものを致しました。衣食住もそうですがもっともっと大きないただきものをしました。
それは「南無阿弥陀仏」です。これまで長い間、自力の道をかけずりまわっていた足が、そのまんま他力の真ん中にいる自分だと知らせていただきました。これ以上の幸せがあろうか『【花(か)深処(しんしょ)無行跡(むぎょうせき)】(花深きところ、行く跡なし)自分がどんなに偉い人であろうと、金持ちであろうと、この大自然の中では、私たちは皆とても小さく、私たちの足跡などすぐに消されてしまうものだ』等々を紹介し、お話をさせて頂きました。

 

第二座 江島靖秀師 「奈良の大仏さんにこめられた願い」 

あまりにも有名な奈良の大仏さんは盧遮那仏と申し「光明遍照」とも訳され、慈悲深くあまねくお照らし下さる仏さまです。
大仏さんは奈良時代、聖武天皇の発願により造立されました。造立に至る前史は当時の「天平」という元号とは裏腹の暗澹たる時代でした。政変、旱魃、大地震、天然痘発生、不作、天然痘大流行、反乱…毎年のように災厄が降りかかりました。聖武帝は「責任は自分ひとりにある」と苦しみ悩まれました。その暗闇の果てに光明を求め大仏造立を決断されたのでした。人間だけでなく「動物も植物も生きとし生けるもの悉く栄えるように」との願いからでした。
そのためには財力や権力にものをいわせて行うのではなく、例えば、一本の草を持って、一握りの土を持って、手伝いたいという者があれば受け入れようと、つまりどんな小さなものでも、みんなの幸いのために、みんなの力を結集して成し遂げようとしたのでした。そうして無事に成就し、天平勝宝4年(752)盛大な大仏開眼会が厳修されたのでした。
この大仏造立にこめられた願いは、その後の歴史を通じ今に至るまで一貫しているといえます。だから過去において源平争乱と戦国合戦の二度も兵火にかかり大仏さんが焼け落ちるという惨事に見舞われましたが、その都度復興して来ました。
平安末から鎌倉初にかけては重源上人が出られ「一尺の布、一寸の鉄」といえども募って成し遂げるのだとの決意のもと成就されました。
江戸期においては公慶上人が出られ、実現まで横になって休まないとの誓いを立てられ、「一本の針、一本の草」であっても「天下の仏心」を集めて達成せんとの熱願のもと邁進されました。
私達が平成の今に大仏さんを拝めるのはこのような時空を超えてつながる願いの中にあってのことなのです。仏さまの姿形の美しさもさることながら、このような願い、祈り、心もまた限りなく美しいものであります。

 

次回の開催は10月30日(金)です。次回は仏教美術の2回目を別の僧侶がお話しいたします。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

第三十三回「坐禅・法話会」1 第三十三回「坐禅・法話会」3 第三十三回「坐禅・法話会」2

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